生まれながら眼瞼下垂(先天性眼瞼下垂)の人はそう多くはなく、大抵の場合は歳を重ねながら徐々に徐々に後天的に眼瞼下垂症になります。
眼瞼下垂症になると二重が太くなります。元々一重や奥二重だった人でも二重になります。眼瞼下垂症が進むと二重になり始め徐々に太くなり、更に病状が進むと三重や四重になることもしばしばあります。
瞼を横の断面で見て、その動きを考えながら二重の幅を考えてみましょう。
瞼の解剖に関しては「眼瞼下垂の匠第2章」を参照して下さい。(Link)
まずは開瞼が正常にできる場合の二重に関してです。
瞼の板は眉下の皮膚の後ろ側に入り込んで行くため、正常な開瞼ができる時はしっかりと瞼が引き上げられ、二重は必然的に狭くなります。
「目がしっかりと開く、瞼(まぶた)がしっかりと上がる」=「二重幅は狭くなる」ということです。
眠たそうな目をしたり、目が開かなく、瞼が下がってくると二重幅は広くなります。
次に眼瞼下垂症になってしまった場合です。
瞼の板が上がらなくなることで二重は間延びします。また目の開きが悪くなるため、眉毛を上げることで見開きやすくしようと無意識におでこを動かしてしまうため、更に二重幅は広くなってしまいます。
眼瞼下垂症になったことにより太くなってしまった二重幅は眼瞼下垂症を治療することで良くも悪くも狭くなります。
他院にて眼瞼下垂の手術を保険適用で受けたところ、二重のことを考慮してもらえず二重幅が狭くなってしまったなど言われる患者様がいらっしゃいます。保険適用で手術をしたから二重幅を考慮されることなく幅が狭くなったわけではなく、眼瞼下垂症を治したからこそ二重幅が狭くなっただけということをご理解頂ければと思います。逆にいうと二重幅が狭くなったということは眼瞼下垂症がちゃんと治療されたと考えることができると思います。
眼瞼下垂症で目の開きが悪い時の二重幅のまま眼瞼下垂症を治療したいということであれば眼瞼下垂手術の際、二重幅を広くする必要が出てきます。流石に二重幅を広くする手術は見た目を考慮する美容の問題となるため、保険適用の手術とはなりません。
眼瞼下垂を患者様の指示通りのラインで手術する場合はそのラインで二重が定着する様に通常は眼瞼下垂手術には不要な作業をしなければならないこともあります。
健康保険の手術では一番自然に入る二重のラインを私は選ぶ様にしています。あくまで二重を作成するために手間暇がかからず、自然に入りやすい二重のラインです。自然に入る二重のラインは患者様の好む二重のラインということではありません。また、自然に入る二重のラインは自然に見える二重のラインということでもありません。自然な二重というのが曲者で、自然な二重というのは人によって考え方が違いますから・・。患者様には自然に入る二重のラインであればそれで良いですとは言われても、自然に入る二重のラインと自然に見える二重のラインは違い、その自然に入るラインが患者様の好みかどうかは分からないものです。
保険適用で眼瞼下垂の手術を受け、術後の二重が気にいらなかったら、その時二重の手術を受けるという患者様もたまにいらっしゃいます。何度も手術を受けるのは痛み、ダウンタイム、癒着の拡大などあるため、得策ではありません。好みの二重などがある場合は自由診療となってしまいますが、初めから二重も含めて眼瞼下垂症の手術を受けることをお勧めします。