切らない眼瞼下垂症手術と眉下切開?
- 記事公開日
- 2024年11月14日(木)
先日70代の女性が目を開くのが重たく、眼瞼下垂の治療を色々としてきたけど治らない・・・と当院を訪れました。
既往手術は数年前に美容外科で「切らない
ん?
眼瞼下垂症の治療に通常ボトックスは使いません。
それでは何故ボトックス?
よくよく聞いてみるとボトックスは上と下のまぶた、要は目の周りに打っているとのこと。
謎は解決。
再度確認してみると眼科では
目が開きにくいという状態には2通りあります。
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まぶたの機能が悪くなりまぶたを開けるのが難しい状態。
治療は目を開く構造を手術で治すことになります。眉下切開をしても眼瞼下垂が治ることはありません。
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目を閉じる筋肉に勝手に力が入ってしまい、目をつぶってしまう状態。目を閉じようとしてしまうため、まぶたを開けるのが難しくなります。簡単にいうと目を閉じる力が強すぎて、目を開けられなくなってしまった状態。
治療は目を無意識に閉じてしまう筋肉の動きを弱める、或いは止めることになります。これは今日の医療では筋肉の動きを抑制するボトックスという薬をその筋肉に注射して動きを弱めることで解決します。
それではどちらの治療から始めれば良いのか?そんな疑問が湧いてくるかも知れません。
これはなかなか難しいところ。
眼瞼痙攣が強い時は眼瞼下垂症手術をしても目を閉じてしまう筋肉が強すぎるため開眼の調整をちゃんとできるか分からない。でも眼瞼下垂が原因で眼瞼痙攣が起きてしまっていることもあるので、眼瞼下垂を根治することで眼瞼痙攣が落ち着くこともある。
切らない眼瞼下垂症手術という糸でただ縫うだけの眼瞼下垂症手術の埋め込んだ糸がミュラー筋などを刺激してしまったことが原因で眼瞼痙攣が発症してしまっていることもあり、その場合はその糸を除去することで痙攣が改善することもある。しかし、眼瞼痙攣の原因はまだまだ解明されていないことも多いため、実のところ原因が何かはまだ分からない。
もしかしたら、数年前「切らない眼瞼下垂症手術」ではなく、ちゃんとした眼瞼下垂症手術を受けていたら眼瞼下垂が治り、眼瞼痙攣にもならなかったかも知れない。そして、眉下切開の手術も必要はなかったのかも知れない。
今となっては何が正解だったのかは分からない。
最近は眼瞼下垂症と診断をして「眉下切開」や「切らない眼瞼下垂症手術」をする病院が増えている。本当に眼瞼下垂症を治すつもりがあるのだろうか?眼瞼下垂症はまぶたを開瞼する機能を回復しない限り治ることはない。
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