眼瞼下垂の匠 第8章:先天性(生まれつき)眼瞼下垂

筋肉の動きが悪いタイプの治療法

第3章で説明した通り、先天性眼瞼下垂 眼瞼挙筋の動きが悪いため眼瞼(まぶた)を持ち上げることができず、眼瞼が瞳にかかってしまいます。 眼瞼の筋肉が弱っているタイプの眼瞼下垂症の手術では、動きの悪い眼瞼挙筋の代わりに眼瞼を持ち上げる別の動力源が必要になります。

先天性眼瞼下垂の模式図

筋膜移植術

既に代償性に動いているおでこの筋肉である前頭筋の動きをより効果的に眼瞼(まぶた)に伝える手術が筋膜移植法になります。下図のようにおでこの筋肉(前頭筋)とまぶたの板(瞼板)に紫色で示すように筋膜を移植します。。

筋膜移植術の図
筋膜移植の模式図

こうすることで代償性に動く前頭筋の力が筋膜を通じて存分に眼瞼に伝わるので、目が楽に開くようになります。眉毛を上げれば上げるだけ、おでこを動かせば動かすだけ目を開くことができるようになります。図に表すとこんなところだと思います。

筋膜移植術の模式図

しかし、この術式も完璧なものではなく、残念なこともあります。前頭筋でまぶたを上げることになるため、必然と言えば必然ですがおでこのシワが残ります。筋膜移植術を行うと下を見る際どうしても上三白眼となってしまいます。通常は下の方を見る時は眼瞼も下がり瞳の上の白い部分を覆い隠しますが、筋膜移植をして前頭筋で眼瞼を引っ張っていると眼瞼が上がったまま目玉(眼球)だけが下を向いてしまいます。少し奇妙な風貌となってしまいますが、視野を確保するためには仕方のないことなのです。

また、この手術はおでこの筋肉を使う前提での手術なのですが、おでこを使わない限り目が開くことはありません。残念ではありますが、他院でこの筋膜移植法手術を受けたにも関わらず目が開かないと当院を訪れる患者様がたまにいらっしゃいます。診察の際おでこを使い眉毛を上げて頂くと目は開きます。ただ、手術を受けた病院できちんとした説明を受けていないため、おでこを使わなければ目が開かないということを知らないということがあります。

第9章では眼瞼下垂症の症例写真を見てみましょう。

院長よりアドバイス

目の開き方が正常に戻ります。目の奥の痛みが取れた、頭痛がなくなった、首や肩の筋肉の硬さがスーッと抜けて楽になった、などなど様々な症状が一気に改善するようです。眼瞼下垂症の程度が軽度であったとしても手術をすることで様々な症状から解放されるので、一考してみても良いかも知れません。

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